1 君と呼ぶひと

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「やり過ぎ。これ、痛いだろ?」 昨日もあれから家でずっとギターを弾いていたから、昨日よりも酷くなってるかもしれない。 「……ごめんなさい」 「謝って欲しいわけじゃないよ。でもどうしてこんなになるまで」 「ありがとう、心配してくれて。気をつけるね。練習も少し休む」 「……うん」 それ以上訊かないでほしいのを、紘人は察してくれたみたい。 私の手を支えてくれていた手がするりと抜け、紘人の膝に戻っていく。 「あと……さ」 それで私から離れてしまうだろうと思っていた紘人は、そのまま何か言いかけて口を噤んだ。 「私、彼氏なんていないよ」 私の言葉で、紘人は強ばった顔をクシャッとさせて笑った。
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