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「やり過ぎ。これ、痛いだろ?」
昨日もあれから家でずっとギターを弾いていたから、昨日よりも酷くなってるかもしれない。
「……ごめんなさい」
「謝って欲しいわけじゃないよ。でもどうしてこんなになるまで」
「ありがとう、心配してくれて。気をつけるね。練習も少し休む」
「……うん」
それ以上訊かないでほしいのを、紘人は察してくれたみたい。
私の手を支えてくれていた手がするりと抜け、紘人の膝に戻っていく。
「あと……さ」
それで私から離れてしまうだろうと思っていた紘人は、そのまま何か言いかけて口を噤んだ。
「私、彼氏なんていないよ」
私の言葉で、紘人は強ばった顔をクシャッとさせて笑った。
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