1 君と呼ぶひと

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「変な噂だね。でも瀬戸くん、噂話は興味ないんでしょう?」 「お陰で勉強になるよ。“噂話”がどんだけデタラメだらけなものなのかって」 影でコソコソされてばかりの私は、こんな感じの瀬戸くんといると心が軽くなる。 「わぁ、良かった」 「……ちなみにこれ、嫌味ね」 「うん、ありがとう」 私がそう言うと、今日初めて瀬戸くんと目が合った。その表情はどうともとれない微妙な感じだけど。 「は? 君さ」 「私ね、瀬戸くんが真っ直ぐに接してくれることが嬉しいの」 「……あっそ」 瀬戸くんは溜息をつきながらまた前を向いてしまった。
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