1 君と呼ぶひと

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通学路の桜並木を通ると、日に透けるピンクの花びらがユラユラと寂しそうに散っていく春。 県内でも上位クラスの進学校であるここ桜ノ宮高校の進級式から、早いもので2週間が過ぎた。 普通なら、新たな始まりに胸を弾ませているはずのこの時期。でも、私、清水詩葉(しみずことは)は2年生になってからのこのたった2週間で、すっかり校内で悪名が立ってしまった。 廊下を歩く時も、まだ馴染みきらないクラスメイトからも、ヒソヒソと囁かれ、あまり気持ちの良くない視線を注がれている。 その度に、私は誰にも気づかれないよう小さく息をついてから、視線を上げる。 私にはうつむいてる時間なんてないのだから。
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