1 君と呼ぶひと

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パソコンの授業のセットを持ち、菜々と並んで廊下を歩く。パソコン室は教室のある2階から1階に下りて、渡り廊下を通り裏校舎の端だ。 1度外に出ることになるから雨風の日は大変だけど、今日は快晴。春の陽気らしくポカポカしていて気持ちがいい。 「菜々、今日の髪はどうなってるの? 可愛いね」 「わぁ、ありがとう。ハーフで髪とって、両サイドから編み込んでくるりんぱして少し崩して、全体を縛って逆毛してお団子にしただけだから」 「う、うん分かったありがとう」 ……分からなかったけど。 私は自分のショートボブの髪をクシャッと触った。 『ねえ、何気取り?』 『あははっ』 通りすがりに、上級生の女子2人組が冷やかすように囁いた。知らん顔したけど、間違いなく私に向けられた言葉なのは分かっていた。 きっと、菜々も察してる。
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