3 君と夢

25/34
前へ
/314ページ
次へ
サボってしまった手前、罰が悪くなりながら午後の授業に出席したけど、私がいなかった事なんて誰も気にしてなかったんだと思い知らされただけだった。チラッと紘人の方を見ても、目が合うこともなかったし。 勝手に傷ついて私がサボったことは、かっこ悪い自己満足だった。自分の存在の薄さに、心の弱さに、情けなくなる。 「今日はピアノのお稽古なの、またね」 「うん、また明日」 菜々は、美容師さんになりたいのに。茶道に華道にピアノ、塾……ね。 でも、年末におうちに遊びに行った時には、菜々の両親から娘への愛をたっぷり感じたし、厳しい育て方も菜々のことを思ってのことなんだと思う。きっと、菜々もそれが分かっているから、優しい子だから、両親の期待を裏切れない。 私は、菜々の想いを大切にして欲しいんだけどな。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

300人が本棚に入れています
本棚に追加