3 君と夢

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駅の掲示板には、近く開催される街のイベントの張り紙が増えていて、もうすぐゴールデンウィークなんだと気付かされながら改札をぬけた。 「君、今日は暇?」 瀬戸くんが私の予定を訊くなんて初めてのことで、私は驚いて隣の背の高い顔を覗き込んだ。爽やかな黒髪が光に透けて綺麗。なんて見とれてしまった自分に驚いて振り払った。 「暇じゃないよ、駅で歌うの」 「よし、暇だな。駅でギター持ったら一緒に僕のうちにいこう」 「……え?」 いや、私暇じゃないんだけど……。 「瀬戸くん、バイトは?」 「休み」 「そっか」 いろいろツッコミたいことがあったけど、瀬戸くんのバイトのお休みも珍しくて、呆気にとられてしまった。
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