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やがて郵便の回収員が専用車で到着し、そのポストの中の郵便物を全て
バッグに入れると、局に戻っていった。
郵便局では、各ポストから回収した郵便物を機械で選り分ける。
その時に、カズヤが出した『サンタさんへ』とだけ書かれた郵便物は、『サンタ宛』と明記された別のダンボール箱に入れられ、空港へ送られた。
サンタクロース村は北極の湾岸にあり、そこに住むサンタのラスコの家に、今日も郵便がダンボール箱で届けられた。
防寒スーツ姿の郵便配達員が玄関チャイムを押して、待つと、やがてドアが開いた。
しかし、そこにサンタの姿はなかった。
「仕方ないね、大人にはサンタの姿は見れないから……」
郵便配達員が、ダンボール箱を差し出し、
「はい、今日の分の手紙です」
すると、そのダンボール箱は、そのまま空中に浮き、
「どうも、ご苦労さま」
「いえ。今日もお元気そうで。じゃ失礼します」
配達員は、会釈すると帰っていった。
ラスコは、ダンボール箱を持ってリビングに向いながら、
「何通、入ってるのかな……?」
すぐにダンボール箱をリビングのテーブルに置くと、開箱した。
すると中には、溢れるほどの手紙が入って……
……なくて、一通しかなかった。
それは、カズヤからの手紙だった。
「最近は、私の存在を信じてない子が増えたからな……」
彼は溜め息をつきながら、その手紙を手にすると、ソファーに座って読んでみることにした。
サンタは、あらゆる国の言葉や文字を判読できた。
だからラスコも、どこの国の子供からの手紙でもスラスラ読めるのだった。
足元には、大きなダンロがあり、その中では焚き木が赤々と燃えていた。
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