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彼のお城は、私の暮らしていた部屋と同じくらい冷たくて寂しいところだった。
それでも、私は彼がいるだけで嬉しかった。
彼は私の話し相手になってくれて、彼もまた私にたくさんの事を教えてくれた。
今まで知らなかった事をたくさん知って、本でしか見たことのなかった色々なものを見せてくれた。
氷河の山、広大な砂漠、美しいオーロラ、色とりどりの街並み、雄々しい動物たち。
何もかもが新鮮で、刺激的で、驚きと感動に満ち溢れていた。
今まで一人で過ごした十四年間よりも、彼と過ごしたわずかな時間の方が、私にとって何よりも価値のある時間だった。
こんな時間が永遠に続けばいい。
そう思っていた。
でも、それは叶わなかった。
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