思い出

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私は王子に言った。 国へ帰るつもりはありません。私はこの方と一緒にいますと。 そう言うと、王子はとても悲しそうな顔をした。 「可哀想な姫。魔王に操られているのですね」 私はその時初めて、彼が悪を支配する魔王であることを知った。 でも、私にそんなことは関係無かった。 私は貴方といたいのです。 ひとりぼっちだった私を、貴方は連れ出してくれた。たくさんのことを教えてくれて、話し相手になってくれた。 貴方をひとり、此処に残していきたくはありません。 だって、私は貴方を 「あいし―――」 「お嬢さん、それだけは言ってはいけないよ」 最後の言葉を言う前に、頭の中で何かがパキンと割れるような音がした。 平衡感覚が無くなり、私はその場に倒れ込んでしまった。
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