0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
私は王子に言った。
国へ帰るつもりはありません。私はこの方と一緒にいますと。
そう言うと、王子はとても悲しそうな顔をした。
「可哀想な姫。魔王に操られているのですね」
私はその時初めて、彼が悪を支配する魔王であることを知った。
でも、私にそんなことは関係無かった。
私は貴方といたいのです。
ひとりぼっちだった私を、貴方は連れ出してくれた。たくさんのことを教えてくれて、話し相手になってくれた。
貴方をひとり、此処に残していきたくはありません。
だって、私は貴方を
「あいし―――」
「お嬢さん、それだけは言ってはいけないよ」
最後の言葉を言う前に、頭の中で何かがパキンと割れるような音がした。
平衡感覚が無くなり、私はその場に倒れ込んでしまった。
最初のコメントを投稿しよう!