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―――
目が覚めた時、私は王子様の腕の中にいた。
私が目を開けると、彼はにっこりと笑って私の手を取った。
「美しい姫、やっと貴女を救い出しました」
顔を動かすと、少し離れたところで胸に矢の刺さった男が倒れているのが見えた。
「貴女はあの恐ろしい魔王に操られていたのです」
貴方が私を助けてくださったのですかと聞くと、王子様は私の体を起こして手を取り、その甲に唇を落とした。
「私が魔王を倒し、貴女を取り戻しました。共に帰りましょう、我らの国へ」
ありがとう、貴方に心から感謝しますと、私は言った。
王子様に手を引かれ、私はその場を去った。
魔王に監禁されていた間の記憶は全く無かった。
魔王の顔も、此処にいたことも、お城を出た時のことも、何も覚えていなかった。
魔王に操られていたことも知らず、記憶も全て消されてしまったのでしょうと王子様は言った。
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