保身

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 空一面にうろこ雲が広がり、雨を予感させる。これからアルバイトに向かうナオミは憂鬱な気分で自転車にまたがった。  自転車を漕ぐたびパキパキと枯れ葉の割れる音がする。可哀相だと思いながらも交通量が多く枯れ葉を避けて走る事も出来ない。ナオミは罪悪感を感じながらも先を急いだ。  ナオミは夫と2人、アパートで暮らしていた。アラフォーと言えば聞こえはいいが、要はただの中年女である。夫はと言うと気が短く気に入らないとすぐに仕事を辞めてしまう。夫の収入だけでは生活出来ずナオミも働きに出ていた。  今日のバイトは5時から閉店までだ。アパートから自転車で5分程走ると勤務先のドラッグストアに着く。  事務所の奥のロッカーにバックをしまいエプロンと名札を付けた。シフトを確認すると今日は8時までレジでその後は掃除になっていた。5時になったのでタイムカードを押しレジに入った。  
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