謎めいた男その一

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謎めいた男その一

 藪椿やクヌギやシロヤマブキの実を拾いながら楽しげにグリーンアドベンチャーをする人とは対照的に健は項垂れた頭を両手で抱えながら公園のベンチに座っていた。 「嗚呼、何で俺は煽ててばかりいるんだろう。正直に言わないから付け上がっちまうんだ。何が嫉妬しちゃってだよ。誰がお前なんかに嫉妬するもんか。俺は正直に言えないストレスから不機嫌な顔をついつい覗かしちまうんだ・・・」  そう独り言を呟いていると、「同情するよ」と言う男の声が頭上から聞こえて来たので健はハッとして顔を上げた。  見ると、目の前に奇しくも健と同じ年恰好の平凡そうな中年の男が人畜無害な健を皮肉るように健と同じチェック柄の有り触れたシャツを着て立っている。 「あ、あんた、聞いてたのか?」
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