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恋の病ならぬ、愛の病。
主人のその珍妙な嘆きに動揺することなく、グレイはふむと思案気に考え込む。
「一応、確認しますが、ぼっちゃんと言われたことを気にして?」
「違うに決まっているだろう」
「そうですか」
──スウェルビアの屋敷を出てからずっと考え込んでいるようだったが、まさかこんなことを思う日が来ようとは……。
グレイは感動で目頭を押さえたい気分になったが、眼鏡のフレームをあげるだけに留まった。
こげ茶の髪をぴしりと撫でつけ、同じく茶の瞳に下の部分はノンフレームの黒縁メガネ。これぞ執事というような出で立ちに立ち姿。
隙を見せないそれはさすがプロであり、ものすごく真面目な顔をしながら主人の成長にグレイは感激していた。
「そうなんだ。どうにかしてくれ」
「わかりました。まず、リラックスするために紅茶を淹れましょう。その間、落ち着くようにこれでもどうでしょうか? 優しいお味だと美柚さまから頂きました」
「いつのまに?! 僕は貰ってない」
「ちょうど片付けをしていた時ですね。いつもありがとうと頂戴しました」
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