愛の病

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 一方、アルテミスは悶々中。  ヴァンパイアの時勢が安定せず問題事は多々あるが、ここ最近は愛に満たされ充実した日々を過ごしていた。だが、今日あることを知ってからアルテミスは面白くなかった。  くてん、と机に頬っぺたをつけ、執事のグレイがくれた優しい味のいちごミルクの飴玉を口の中で転がしながら、紅茶が入るのを待っていた。  もんもん。もんもん。  ──あっ、これ美味しい。たまにはいいかもしれない。でも、グレイだけでなくて僕にも渡してくれたらいいのに……。  もんもん。もんもん。  ──うーん。やっぱり、苦しいなぁ。 もんもん。もんもん。  ──愛が足りない……。 どれだけ考えてもスッキリしない。すっごく胸ががチクチク、スウスウする。 本来ならこんな行儀が悪いことはしないのだが、愛の病なのだから仕方がない。細胞が『我、愛を欲す』と叫んでいる。
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