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くだらない会議から自分の会社のビルへ戻ると、青い制服の清掃員が居た。
「お疲れ様です」
その清掃員は俺の顔を見るなりそう言ってきた。
あー今すぐ抱き寄せてキスしたい。そんなことしたら、あいつは真っ赤になって逃げるんだろうな、と想像する。
「ん。」
隣で秘書が耳打ちする。
「社長、顔に出てます。」
おかしい。生まれてこの方顔に出るタイプではないと思ったんだが。
【じゃ九条さんちに居ます。食べたいものはありますか?⠀】
気づいたらメッセージが届いていた。
___おまえ。
と打ったが、すぐに消し"なんでもいい"と当たり障りの無い言葉を返す。
はぁ。早く帰って抱きしめたい。
そう心でボヤキ、目の前の仕事をキリのいいところまで進める。
「社長、顔に出てます」
「お前はそれしか言えんのか。」
「いえ、申し訳ありません。珍しいもので。またあの子のところですか」
「いや、自宅にいると」
「それはすごい進歩ですね、ではこの件は明日の朝に回します。もう社長はお帰りですね?」
「ああ。頼む。」
そう言って社長室を後にし、足早に帰路へと足を向けた。
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