お戯れ

2/2
前へ
/2ページ
次へ
くだらない会議から自分の会社のビルへ戻ると、青い制服の清掃員が居た。 「お疲れ様です」 その清掃員は俺の顔を見るなりそう言ってきた。 あー今すぐ抱き寄せてキスしたい。そんなことしたら、あいつは真っ赤になって逃げるんだろうな、と想像する。 「ん。」 隣で秘書が耳打ちする。 「社長、顔に出てます。」 おかしい。生まれてこの方顔に出るタイプではないと思ったんだが。 【じゃ九条さんちに居ます。食べたいものはありますか?⠀】 気づいたらメッセージが届いていた。 ___おまえ。 と打ったが、すぐに消し"なんでもいい"と当たり障りの無い言葉を返す。 はぁ。早く帰って抱きしめたい。 そう心でボヤキ、目の前の仕事をキリのいいところまで進める。 「社長、顔に出てます」 「お前はそれしか言えんのか。」 「いえ、申し訳ありません。珍しいもので。またあの子のところですか」 「いや、自宅にいると」 「それはすごい進歩ですね、ではこの件は明日の朝に回します。もう社長はお帰りですね?」 「ああ。頼む。」 そう言って社長室を後にし、足早に帰路へと足を向けた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加