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好き勝手に言っている身内に怒鳴ってやりたいのに、それが出来なくて。
影で隠れるようにして身を潜めている自分が情けなくて、惨めで、悲しかった。
━━ここから逃げ出したい。
私も……お父さんとお母さんのところに行けるなら……。
そんな考えが頭をよぎった時━━
「夏夜。ここに居たのか」
優しく名を呼ぶ声に、顔を上げる。
「あに……き……」
「お前、飯。朝から何も食べてなかっただろ? 控え室におにぎりがあるから、食べなさい」
「いらない……」
「いらないじゃなくて……」
だって、控え室に行ったら、みんな居るじゃない。
私達のこと、好き勝手に言いたい放題言ってるやつらと一緒の部屋になんて、居たくない……。
でも、そんなことを言って兄貴を困らせたくもなくて黙っていると、べちゃくちゃと喋っていた親族達がオロオロしながら、近づいてきた。
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