374人が本棚に入れています
本棚に追加
「そのままの意味ですよ。あと……夏夜は僕が守りますんで。誰が夏夜を預かるとかそんな心配はしなくても大丈夫ですから」
笑いながら言う兄貴に、伯母達は決まりの悪そうな顔をする。
「夏夜。お腹が空いてないなら、お茶だけでも飲んどきなさい。僕が煎れてやるから」
そんな伯母達を無視して、兄貴が私の手を握り、控え室の方へと引っ張って行った。
兄貴に引っ張っられながら、先ほど兄貴が言っていたことを口にする。
「ねぇ。兄貴……大学を辞めるって……なんで……」
兄貴がピタッと足を止めた。
「言っとくが。大学を辞めるのは、夏夜のせいじゃないからな。父さんと母さんがいろいろ残してくれたとは言え、学費とか諸々考えたら、それが最良だって僕が判断したからだ。お前……自分が居なければとか、変なこと考えそうだから先に言っとく」
「だって……」
「だってじゃない」
「夢は……」
兄貴を見据えながら、続ける。
「兄貴、夢はどうするのよ!! 新聞記者に成りたいって言ってたじゃない!! その為に、大学で勉強する必要があるって……!!」
「夢は自分が諦めない限りいつでも叶えられる」
兄貴が笑う。
最初のコメントを投稿しよう!