act.1 兄と妹

12/25
前へ
/196ページ
次へ
「つまんないなぁ……」 「つまんないって……人で面白がらないでよ……」 苦笑すると、師範代が助け船を出してくれた。 「そうだぞ。人のプライベートにむやみに突っ込むのはよくないぞ?」 「うー……兄貴だって気になる癖に……」 「ま、まぁ……な。気になる……かな?」 「ちょっと、師範代!! しっかりして下さいよ!!」 そう、突っ込んだのと同時に、鞄の中に入れていたスマホが音をたてた。 「あー!! きっと、遼ちゃんだわ!! というわけで、私は退散します!! 師範代!! お疲れさまでした!!」 慌てて、上着を羽織り、鞄を持つ私に、師範代が明るい声で「おう」と返事した。 「ちょっとちょっと!! 先輩、帰っちゃうんですか!? 話はまだ終わってませんよ!?」 「ごめーん!! 続きはまた明日聞くから!!」 えふりちゃんに向かって、手を合わせるしぐさをして、そのまま走り出す。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

373人が本棚に入れています
本棚に追加