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「兄貴が死んだって……。何を……言ってるの?」
━━だって……だって、兄貴は……いつだって私を励まして……。
仕事柄、側に居ることは少なかったけど、その分、私のことをいつも気にかけて……。
『俺だって信じられないよ。警察から連絡があった時、何かの間違いなんじゃないかって……』
「警察って……。兄貴、取材に行くからしばらく留守にするって言ってたけど……。何があったの?」
『警察の話だと、崖から落ちたって……』
「崖って……」
『姫ちゃんの遺体の側にカメラとうちの名刺があって、それでこっちに連絡が来た』
遼ちゃんの声が遠い。
あの兄貴が……死んだ……。
私を残して……。
「……んで」
『夏夜ちゃん?』
━━声が震える。身体が震える。
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