act.1 兄と妹

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『よし。すぐに行くから……』 「遼ちゃん……」 言いかけた遼ちゃんの言葉を遮り━━ 「ありがとう……。それに……わめき散らしてごめんなさい……」 『いいよ。俺だって同じ気持ちだし。ましてや、夏夜ちゃんにとって、大切な家族なんだし』 優しく話す遼ちゃんに、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。 ツラいのは、遼ちゃんだって同じなのに。 兄貴と遼ちゃんは仕事仲間というだけではない。 お互いに、尊敬しあって……本当に仲の良い親友同士だったから……。 『とにかく、少しだけ待ってて。すぐに行くから』 「うん……」 それだけ言うと、遼ちゃんが通話を切った。 「……どうして。兄貴……」 残された私は、それだけ呟いてその場に座り込んだ━━。
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