act.1 兄と妹

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「遼ちゃん……」 改めて、遼ちゃんの方をしっかりと見据えて━━ 「ありがとう。私は大丈夫だから……」 遼ちゃんが困惑したような表情を浮かべた。 (遼ちゃん……。私に気を使って、わざと明るく振る舞ってる) 遼ちゃんが黙ったまま、私の隣に座った。 警察の廊下━━。 兄貴の遺体を安置しているからと連絡をくれた警察の廊下で、私と遼ちゃんはお互いに黙ったまま、コーヒーを飲む。 「信じられないよな……」 沈黙を破ったのは遼ちゃんの方だった。 「ちょっと前に、姫ちゃんから連絡あってさ。今度一緒に食事でもしようぜって……。夏夜ちゃんも誘ってさ……。『夏夜を仲間外れにすると後がうるさいから』なんて言って……」 「兄貴ってば……どういう意味よ……」 「そのくせ『夏夜の好きなものが』とか、『夏夜はあの店が気に入ってたな』とか……夏夜ちゃん中心で。俺の意見はなしかよ!!って突っ込んだりして」 遼ちゃんが「あはは」と小さく笑う。
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