372人が本棚に入れています
本棚に追加
「遼ちゃん……」
改めて、遼ちゃんの方をしっかりと見据えて━━
「ありがとう。私は大丈夫だから……」
遼ちゃんが困惑したような表情を浮かべた。
(遼ちゃん……。私に気を使って、わざと明るく振る舞ってる)
遼ちゃんが黙ったまま、私の隣に座った。
警察の廊下━━。
兄貴の遺体を安置しているからと連絡をくれた警察の廊下で、私と遼ちゃんはお互いに黙ったまま、コーヒーを飲む。
「信じられないよな……」
沈黙を破ったのは遼ちゃんの方だった。
「ちょっと前に、姫ちゃんから連絡あってさ。今度一緒に食事でもしようぜって……。夏夜ちゃんも誘ってさ……。『夏夜を仲間外れにすると後がうるさいから』なんて言って……」
「兄貴ってば……どういう意味よ……」
「そのくせ『夏夜の好きなものが』とか、『夏夜はあの店が気に入ってたな』とか……夏夜ちゃん中心で。俺の意見はなしかよ!!って突っ込んだりして」
遼ちゃんが「あはは」と小さく笑う。
最初のコメントを投稿しよう!