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「その名前は……捨てたから」
冷めた目を遼に向けながら━━
「夏夜じゃない。私の名前は……」
『光姫琥太郎』
きっぱりと言い切った夏夜と遼の間に、沈黙が流れる。
遼が唇を噛み締め、何かを決意したように、沈黙を破った。
「夏夜ちゃん……。やっぱり戻ろう。島についてから、折り返しの船に乗って……」
「遼ちゃんはどうするの?」
遼の言葉を遮り、夏夜が見つめる。
「俺は……勿論、そのまま島に残るよ。残って、姫ちゃんの手懸かりを探して……」
「なら、私も残る。兄貴の手懸かりを探す為に」
強い言葉でそう言われ、遼はまた、沈黙する。
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