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「だけど……」
遼が苦しそうな表情を浮かべ、沈黙を破る。
「島は……原則、女性の立ち入りを禁じられてる。島に残る伝承を律儀に守ってるとかなんとか……本当の理由はわからないけど……」
「島に残る伝承、ね……。そんなの建前だと思う。兄貴が消えた理由も含めて、なんにせよ、胡散臭い島だよね……」
遼の言葉に、夏夜が皮肉を返した。
「そうだよ。全てを含めて、胡散臭い。そんな場所に一ヶ月……君を置いておくなんて……」
「遼ちゃん」
夏夜が遮るようにして、遼の名を呼んだ。
「私が頼りないのは、わかる。今だって船酔いでダウンしてるなんて、情けないと自分でも思ってる。そのせいで遼ちゃんに負担をかけさせてしまってるし……」
「そんなことは思ってない。頼りないとも、負担とも思ってない」
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