スマイル

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一定の高さで流れる機械音で目が覚めた。 その機械には【0】と表示され、動きのない線が流れ続けている。 「おい……おい!」 名前を呼んでも、肩を揺さぶっても妻の目蓋が開くことはなかった。 慌てて呼び出し音を何度も押し、妻の名前を呼び続けた。 間も無くして医師と看護師が駆けつけ慣れた手つきで左手の脈を取り、聴診器で心音を聞き、目蓋を開いてライトを当てる。 ライトを消し、指が離された目蓋は再び閉じ、 「残念ですが……6時22分、死亡を確認しました」 容赦無い言葉が突きつけられた。 涙がどっと溢れてくる。 それを見計ってか、看護師は「手続き等は後ほど来ますので」と告げ医師と二人で病室を出て行った。 二人きりの空間。 胸元で硬く握られた妻の右手拳の上に両手を乗せて握り締め、私は恥じらいもなくワンワン泣いた。 どれくらいの時間が経ったのだろう、少しだけ落ち着きを取り戻した私は一つのことが気になった。 妻は、こんなに硬く何を握り締めているんだろう? 私は両手を離して、妻の指を一本ずつ優しく優しく剥がしていった。 「こんなものを……」 付き合い始めたばかりの誕生日に、私があげた安物の古い古いクロスのペンダントを握りしめていた。
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