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こうして日々は過ぎていく。
樹から結唯への連絡は殆どなかった。結唯もまた、研究の邪魔になってはいけないと思い、自分から連絡をすることを控えていた。
そして4年の月日が経った。
「逆上がりはこうやって……」
体育の授業中、鉄棒で逆上がりの実践を行っていた結唯の眼前が揺らぐ。
「先生?!」
「誰か!保健の先生呼んできて!」
遠くで子供たちが騒いでいる声を聞きながら、結唯はゆっくりと意識を手放すのだった。
目が覚めた時、結唯は知らない天井を見つめていた。視界には点滴らしきパックが目につく。その線を辿ると自分の腕へと繋がっていた。意識が戻った結唯の元へと医者がやって来る。
「どうしてこうなるまで放置していたんですか」
こうなる、とは一体どういう意味なのか、結唯にはさっぱり理解出来なかったが、自分の容態が芳しくないことだけはその医者の言葉で理解した。
「全く。しばらく入院してもらいます」
医者はそういうと結唯の病室を後にするのだった。
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