別れ

3/3
前へ
/18ページ
次へ
 晩秋の橋の上。下からは浅い川のせせらぎが聞こえてくる。遠く山の()にかかった夕日が優しく2人を照らし出していた。  しばらく結唯を抱きしめていた樹は、その腕の力を少し緩めると軽く結唯の頬にキスを落とした。 「結唯ちゃん、僕、今はこんなだけど。だけど、絶対に助けるから。だから、それまで信じて待っていてくれる?」  要領を得ない樹の発言。だが結唯は薄く笑って頷くのだった。ゆっくりと結唯の頬を涙が伝う。樹はその涙をそっと拭うと、踵を返し、橋の上を緩慢な足取りで歩き去っていくのだった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加