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晩秋の橋の上。下からは浅い川のせせらぎが聞こえてくる。遠く山の端にかかった夕日が優しく2人を照らし出していた。
しばらく結唯を抱きしめていた樹は、その腕の力を少し緩めると軽く結唯の頬にキスを落とした。
「結唯ちゃん、僕、今はこんなだけど。だけど、絶対に助けるから。だから、それまで信じて待っていてくれる?」
要領を得ない樹の発言。だが結唯は薄く笑って頷くのだった。ゆっくりと結唯の頬を涙が伝う。樹はその涙をそっと拭うと、踵を返し、橋の上を緩慢な足取りで歩き去っていくのだった。
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