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毎日のように見ていた夢の内容はこうだ。
結唯が30歳を目前に、難病にかかってしまう。原因不明のその難病は治療薬はおろか、治療法も確立されていなかった。その難病と闘う結唯だったが、最期は感染症による腎不全で亡くなってしまう。
葬儀に出た自分は、涙も流せずにいるのだった。
(こんな未来は、絶対にイヤだ……!)
幼い頃から予知夢の通りになってきた現実だったが、今度ばかりはそうはさせたくない。否、させない。
しかし、結唯と一緒にいると、安心感から甘えてしまう自分もいた。だから樹はあの日、橋の上で結唯に別れを告げたのだ。新薬開発に専念し、結唯の命を救うために。
期限は限られている。
あと数年。
その数年で新薬を開発しなければ、結唯の命はない。
焦りの中、樹の教授の手伝いをこなしつつも独学で研究を続ける日々が始まった。
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