爺ちゃんの一眼レフ

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 僕はずっとデジタル一眼レフカメラが欲しかった。しかし高くて買えなかったのと、買っても使わなくなるのではないかという思いがあったので、結局長いこと買わずにいた。  後になって思うと最初に手に入ったのが、この古い露出計の付いていないフィルムカメラで良かったと思っている。露出計が付いていないのでしっかり考えて撮らなければならないし、フィルムなので失敗したから撮り直しという訳にもいかない。初期投資こそタダだったもののフィルムカメラはランニングコストが高く、デジタルカメラの様にバシャバシャ撮って後から取捨選択するという撮り方が出来ないのだ。  それから五年、僕はプロのカメラマンになりたいという夢もあって、結局デジタル一眼を買った。ただ、カメラマンなんて仕事は、なりたいからなれるというものでもなく、今はサラリーマンをやっているが、写真を撮ってはコンテストに応募したり、仕事の合間に撮影のアシスタントをやったりと、カメラマンになる夢は諦めてはいない。  今は基本的にデジタルで写真を撮っているが、時折フィルムカメラも使っている。何が違うかうまく説明は出来ないがフィルムカメラで撮った写真には何とも言えない優しさがある。  どっかの誰かがデジタルカメラの映像は四角いドットの集合だが、フィルムカメラの映像は感光材つまり粒子の集合体なのでそこが微妙に違うんだなんて言ってたっけ。
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