恋は突然に降ってくる。

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「ちょ!ゆき!さっきの人、だれ?今まであんな人居た?」 「…あんた知らないの?っていうか、今頃気づいた訳?」 「うん。知らない。初めて見た」 まだぼーっとしている頭をぶんぶん振りながら、先ほどの彼の背中をじーっと見つめる。 「新入生代表の、柏木くんだよ」 「柏木?くん?」 「そう、柏木郁人。学年で1番。しかもバレー部に入っていて首位をずっと保っているからね。この進学校で」 知らない。私、そんな有名人なのに知らない…どして? と、そこで考える。 そういえば私、入学式は季節外れのインフルエンザにかかってしまい、欠席していたのだ。 知らないと言えば知らないはずだ。 しかも学年首位となれば、特進科のわけで、私の通う普通科とは校舎が別なのだ。 「そっか。柏木郁人くんか…」 「ちょっとまって、美玲。まさか」 「いえー!す!そのまさか!」 「まって、あんたバカだとは思っていたけれど、まさかそこまでのバカとは…」 「バカとは失礼!恋とはするものではなく、落ちるものなのです」 そんなこんなで、私は学年首位の彼に恋をした。
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