6人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょ!ゆき!さっきの人、だれ?今まであんな人居た?」
「…あんた知らないの?っていうか、今頃気づいた訳?」
「うん。知らない。初めて見た」
まだぼーっとしている頭をぶんぶん振りながら、先ほどの彼の背中をじーっと見つめる。
「新入生代表の、柏木くんだよ」
「柏木?くん?」
「そう、柏木郁人。学年で1番。しかもバレー部に入っていて首位をずっと保っているからね。この進学校で」
知らない。私、そんな有名人なのに知らない…どして?
と、そこで考える。
そういえば私、入学式は季節外れのインフルエンザにかかってしまい、欠席していたのだ。
知らないと言えば知らないはずだ。
しかも学年首位となれば、特進科のわけで、私の通う普通科とは校舎が別なのだ。
「そっか。柏木郁人くんか…」
「ちょっとまって、美玲。まさか」
「いえー!す!そのまさか!」
「まって、あんたバカだとは思っていたけれど、まさかそこまでのバカとは…」
「バカとは失礼!恋とはするものではなく、落ちるものなのです」
そんなこんなで、私は学年首位の彼に恋をした。
最初のコメントを投稿しよう!