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宛先のない手紙
私は「有言実行」という言葉が嫌いです。
その言葉は
私ではない人のための言葉だから。
あなたは知らないでしょう?
私の心の中の傷口にそっと蓋をして
元気な振りをして
愛しげな顔をあなたに向けて
一日をやり過ごす
あなたはどうか
幸せになってください。
どうか私の分までも…。
「幸せになって」という言葉は残酷な言葉。
言った本人とは「幸せになれない」から
別な「幸せ」を見つけてくださいということ。
それを解っていて、その言葉をあなたに使われる前に私からあなたに送ります。
「どうか幸せになってください」
きっと、お墓まで持っていく言葉だと思います。もう、直接伝えようとは思わない。
そんな毒のような言葉を抱えたまま、素知らぬ顔で生きることにしました。
気がつかなければ良かった。
気がついてしまえば
諦めるか
煉獄に身を焼くか。
それさえも疲れました。
なかったことにするには
私の心に焼き付いてしまった。
さあ、普段の自分の仮面をかぶって
その舞台に立つ女優のごとく
物語を作っていきましょう。
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