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「驚かせちゃってごめんなー。」
「い、いえ、大丈夫です。」
今度は隣の男の人が口を開いた。女の人と違ってやけに親しげだ。
やっぱりどこかで会ったことがあるのだろうか。それともただ彼がフレンドリーな性格なだけ?
いくら考えても答えが出てこないあたしは思い切って訊いてみることにした。
「あの、ここはどこですか?失礼ですけどあなた達は誰なんですか?」
失礼だったかもしれないけどそれ以上に知りたい気持ちの方が強かった。
彼は少し微笑んで、
「ああごめんな、混乱させて」
あたしはただ「はあ…」と情けない声を出すことしか出来なかった。
あたしが黙っていると彼はとんでもないことを口にした。
「僕はねきみの神様だ。怪しいものじゃない」
「か、カミサマ?!」
なにを言ってるの。怪しい人にしか思えない。
全然話が入ってこないあたしを差し置いて話はどんどん進んでいく。
「そしてこっちは女神様だ。彼女も君の味方だよ。」
彼は隣の女の人を指差しながら言った。
指名された彼女は「はじめましてまのんさん」とあたしの名前を呼んだ。
"カミサマ"や"メガミサマ"など聞き慣れない単語が次々と出てきては頭の中を回りはじめる。
神様(?)は続ける。
「君はね、死んでいるんだけど半分は死んでいないんだ。つまり半分死んでいるというところかな。」
ハンブンシンデイル?
理解が追いつかないあたしに気づいたのか、神様(?)はにこりと笑って、
「まあ、聞けば分かるさ」
と言った。
「そしてここは天の世界なのですよ」
今度は女神様(?)が口を開く。
「テンノセカイ?なんですか?それに、どうしてあたしの事を知ってるんですか?どこかで会ったことがあるんでしょうか。」
あたしが尋ねると女神様(?)はさっきよりもにっこり笑って__
「もちろん知っていますよ。何しろ__。おっと、すみません、口がすべりました。」
よく分からないことを言う女神様(?)にあたしがまた質問するのを遮るように神様(?)が
「それで君に死神になってもらいたいんだ」
と言った。
シニガミ。また聞き慣れない単語が増えたけど神様がいるのなら死神もいて当然なのかもしれない。
でも死神をあたしがやるなんて。
「死神って人の命を奪うとか言うあれですか?」
あたしが言うと神様(?)はハハハと笑った。
「"命を奪う"とは失敬だなぁ」
「だってそうじゃないですか。」
あたしが言うと
「死神はもう長くはない命を、魂を、管理し、世界のバランスを保つ仕事をしているのですよ」
と、今度は女神様(?)が説明してくれた。
1人きり笑い終わった神様(?)があたしに微笑みかける。
「やってくれるかな?」
なぜだろう。
気づけばあたしは頷いていた。
「よし。そう言ってくれると信じていたよ。やっぱり君はとても強いんだね」
どういうことなのか分からない。
この人達もよく分からない。
でも。
でも__。
少しでも今のあたしに出来ることがあるのなら__。
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