ごめん。俺は現実から逃げていた

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ごめん。俺は現実から逃げていた

 ごめん。俺は現実から逃げていた。  もう何度目になるだろう、細い、その身体を抱きしめながら謝罪の言葉を口にする。 「戻ってきてくれるのをずっと待っていたんだよ」 「うん」 「おかえり、大ちゃん」  腕が背中に回る。  ごめん。  何度いっても足りない。俺はそれだけのことをしてしまったのだから。 「ユズのふりをずっとさせてごめん、由宇(ゆう)」  そう、今、抱きしめているのはユズの、双子の弟である由宇なのだから。
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