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「私のためとか嬉しくない」
「俺はそれでもいいんだ」
「幸ちゃん、自分の意思はないわけ?」
「これが俺の意思だ」
「嘘つき」
そう言うと、幸志は笑って聞いた。
「南、俺のこと好きだろう?」
私がもしうんとあの日答えていたら、今は違った?お姉ちゃんと付き合いだしても、告白するだけしていたら……何かが変わった?もし変えることが今からでも出来るのなら……。
「答えて、南」
南は真っ直ぐ幸志を見つめて言った。
「好きだよ、ばか」
幸志はやっぱりな、そう言って笑った。南はなぜか泣けてしまい、それ以上何も言うことが出来なかった。
南の部屋の外では早苗が壁にもたれながら、頬を流れる涙を拭いた。
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