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幸ちゃんは一体なんであんなことを聞いてくるのだろう?
「それは南のことが好きだからに決まってるでしょ」
そう話すのは親友の尚子だ。中学からの腐れ縁で、その付き合いはもう十年になろうとしている。
「ないない。だって幸ちゃん結婚するもん」
「え、嘘!?誰と?」
「……お姉ちゃんと」
そう、幸志は南の姉である早苗ともうすぐ結婚する。結婚式は明後日の日曜日。幼なじみで同い年の二人が付き合って結婚する、よくある話だ。
「南……。」
「そんな顔しないでよ。付き合い出した時点で、もう失恋してるんだからさ」
そう、お姉ちゃんから告白の返事を貰ったと聞いたあの日私は失恋したんだ。しかも結婚して家族になる、私が好きでいていいわけがない。だからこの気持ちはもう消し去ると決めたんだ。
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