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「南、俺のこと好きだろう?」
「そんなことあるか」
「またまた照れちゃって、可愛い奴め」
そう言って幸ちゃんは、私の頭をぐしゃぐしゃとなで回す。止めてよと言いつつ、本当は嬉しい気持ちを隠すように幸志の胸を突き飛ばす。
ぐちゃぐちゃになった髪を手で整えると、笑う幸志を横目で見つめる。幸志がそう聞くようになったのはいつからだろう。
私が中学生になった時だ。たまたま学校帰りに会い、一緒に帰っている途中突然聞かれたのだ。
「南、俺のこと好きだろう?」
突然のことに心臓は早まり、顔が熱くなっていくのが分かる。
「そ、そんなわけないでしょ!!」
そう強がるのが精一杯だった。それからだ。会えば同じことを聞かれるようになったのは。
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