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第1章 はじまりの歌
「口にも出せねー夢何て何にも叶わねーぞ」
初めて見た夢は幼少期にみた漫画家だった。
2度目は本気で熱くなれたプロのギターリスト。
何時も口にも出せない夢は力なく消えていった。
3度目僕は野球部のMGをしていた...偶然にも見た横浜学院高校の2年生センターの花道海斗を好きになった。
僕と言っているが僕は’僕っ子で女性’だ。
僕は行動に出る、私立横浜学院高校に転校した、そして花見海斗に近付き野球部のMGとなる。
因みにこの高校は男子校で女性の入学は初めてとなる、甲子園の出場は日常茶飯事で優勝経験もある名門校だ、だが女子の入学により弱体化すると噂されてきた
花道海斗は自分の夢を口に出して言っていた甲子園に出場すると。
学校が出場するだけじゃない自分がセンターでバックを支えるんだと
そんな人間に僕の声が届く筈がない、僕はそれでもMGとして近くに居たいから夜は秘密特訓でノックの練習をしていた、女性の手とは言えないマメだらけの手を作って、そんな僕に彼が毎晩の秘密特訓に付き合ってくれる様になった。
海斗「ざんねんだが公式戦の試合前ノックに女性MGは参加できないんだ」
海里「もんだいないよ練習で出来ればだから僕を甲子園につれていっておくれ」
海里は男性から想いを伝えられた事は何度かあったが僕の言動や手を見て皆去って行った。
次第に手がコンプレックスとなりテーピングで隠す様になった。
右と左どちらが正解?結果が出るかでないか?それが幸とでるか不幸とでるか?花見海斗に既に大切な人が居ても?
全部やって確かめりゃいいだろう。
そして大事な試合、甲子園に出場できるかどうかの場面で彼は失敗して負けて暴言を吐いた、リスペクトしている正義のヒーローが悪に負けて負け惜しみをいう様に大切な仲間を否定した台詞を吐いた。
気が付いたら僕は全力で彼を引っぱたき彼は壁に頭を打ち流していた。
しかし間違っていたのは僕の方だった、理由は恋は盲目だっだからだ、彼は仲間を第一に考え、そもそも彼の失敗のせいで負けたのではない、僕は彼の内面だけを見て行動なんてろくに見てはいなかったのだそれに気付いた僕は彼に対する申し訳なさと自分の愚かさに気付き涙した。
敗因は絶対的エース新羽の不調だったすでにドラフト候補となっている新羽。
季節は秋の大会で敗北した、春の選抜はもうない、来年の夏の甲子園だ。
新羽「海斗お前海里の事好きなんだローが部活だぞ自重しろ女性は海里しかいないんだ」
海斗「女性が海里一人?そりゃ部活の話だろ他にわんさかいるだろうが」
新羽「そんな軟派な考えで甲子園にいけるかってんだよ男の世界だぞ」
海斗「しらねーのか?今や女子硬式野球部何ていくらでもあるんだぞ」
新羽「そうじゃねー心構えの事を言ってんだよ」
海里「二人共僕の事で喧嘩しないでくれるかな?チームワークは大事だよ」
新羽「まーどうでもいいやじゃーな」
翌日海里は田辺監督に呼び出されていた。
田辺「もう一人ピッチャーが欲しい」
海里「1年の今井君がいるじゃないですか」
田辺「アイツはまだ1年猛2年になるが新3年生から一人欲しい」
海里「強肩といえばファーストの松浦さんでしょ強肩の無駄使い」
田辺「あいつはクリーンナップだから打撃に集中させたいんだ」
海里「新羽君がいれば大丈夫じゃないですか?」
田辺「それが崩れたから春の選抜にでられなかったんだろう、うちの高校はな3年間あれば一度は甲子園にいける学校なんだ、だが来年の夏を逃すと新3年生は一度も甲子園を味わう事無く引退するんだ」
なんて贅沢な学校だろうだが実在するのだ。
海里「わかりました、近いうちに練習試合をくんで下さい」
監督室をでると新羽がまっていた。
新羽「海里受けてくれその目でよく俺のフォームを見てくれ」
二人はブルペンに行き投球練習を始める。
「ズギュン」
「バチーーン」
海里「早くなっている150キロ超えているよそうかトルネード気味にからだを回転させ球威をあげたんだねそれにこのコントロールやっぱり新羽先輩は凄いよ」
新羽「さすがプロの娘良く見てんじゃーねぇか、父ちゃんとどっちが凄い?」
海里「いや新羽君の方が遥かに凄いよ高校生レベルじゃない」
新羽「俺の本気の球とるお前も凄いけどな、その、何で女子の硬式野球部のある高校にいかなかった?」
海里「新羽君の球は捕れてもプレイヤーとしてのセンスがないからね」
その日は球が見えなくなるまで投球練習がつづいた。
その帰り道
海斗「海里!!駅まで送っていこうか?」
海里「うちの野球部は全寮制だよこんな時間にその門を出たら校則違反だからね」
海斗「わかってるけどさー海里はそれでいいの?俺は好きな子とならんで帰るのが憧れってかそんな想像ばっかしてんだよ」
海里「僕だって同じさ」
海里はちいさな声で言った
海斗「え?なんて?」
海里「じゃーおさきー」
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