極東 日本

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 『ーー隊長! お元気ですか!? お腹減って無いですか!?』  そんないきなりの大音量に、アリシアは凄まじく顔をしかめる。  音は鼓膜に仕込んである端末から出ている。だから端から見たら、一人でに驚いて肩を震わせ顔をしかめ、その上とりとめも無く鬼の形相を浮かべているちょっと面白い人になっている。  なってしまった。アリシアは憤懣やるかたない風情で叫ぶ。  『ちょっとすっごい五月蝿いんだけど!? 端末の調整しくじったんじゃないのオルガ!! もうすっっっっごい五月蝿いんだけれど!!』  心の中で叫ぶ。それがきちんと通信として載るあたり、未だステイツは捨てたものでもない。  思考通信。言語野における脳波のパターンを解析し、その人の言語化された思考を通信として変換する技術。  『大体、許可のあるまで隊員間での通信は禁じられていたでしょ? なに勝手に通信開いてるの……』  『それは勿論、我が隊のみんなが隊長を心配しているからであります! これほど長い期間、私達が離ればなれになったこともありませんし~~』  『まぁ……それはそうだけどさ……でも五月蝿い。とにかく五月蝿い』  『えぇーーそんなぁ~~』  『第一、今は浸透作戦中だし、おいそれと連絡を取り合うのはーー』  「うおわあああああああ! ちょっとそこ退いてくださあああああああい!!」
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