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僕は、見慣れた職場で深々と頭を下げた。
「お世話になりました」
同僚達が仕事の手を休めて、こちらを向き義務的に声を発する。
「お疲れ様でした」
そして3秒後、職場は通常業務に戻った。
終わった。
さっさと帰ろう。
これ以上、ここに居ても虚しくなる一方。
花束も温かい言葉も何もない。
当然だ。
ここで働いたのは2年だからね。
やっと仕事覚えたと思った新入りが、迷惑だけかけて辞めていく……そんな感じだろう。
退職慣れしている僕にとっては、いつもの光景だけどね。
大きなため息をついた僕は、晴れて無職としての第一歩を踏み出したのだった。
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