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そうね、やっぱり、それが一番良いかもね。
お互い遠距離で、なかなか会える時間もなかったから、仕方ないわ。
私のわがまま、聞いてくれてありがとう。
ここって初めてデートで来た場所よね。なんだか、新鮮な気持ちだったわ。
うん……。そう、そうね。
私、あの頃はわがままばっかで。何でもかんでも思ったことをそのまま言ってばかりだった。
当然、嫌われていたよね。……うん、知ってたよ。自覚してた。だから、誰が離れようが私は何とも思わなかった。
でも、あなたがそんな私を好きだって言ってくれたの。本当に嬉しかったのよ。
私を好きでいてくれるあなたに、私は徐々に惹かれていった。
だから、怖くなったの。
万が一、本当にあなたが傷つくことを言ってしまって、あなたが離れてしまったらどうしようって。だから、会話の最中に「自分がこの事を言ったら相手が傷つかないか」を考えるようになったの。それがきちんと手応えがあるかどうか、他の人にも実行してみたわ。
他の人との人間関係はかなり良くなった。
あなた以外の人と接すると色んな刺激があった。とっても新鮮だった。私が今まで興味を持たなかったこを、目の前で話している相手は何年も追い続けて調べている。その情報を知るのがとても楽しかったの。
同時に、反省したわ。今まで多くの人にとってきた態度を。多くの人との出会い、多くの情報を得る機会を、自分から断ち切っていたのだから。
そんな状況を打破出来たのはあなたに出会えたお陰だった。
あなたに嫌われたくない一心で、私は変わろうって思えたの。
私が変われたのは、あなたのお陰だと心の底から信じていたわ。
だけど、それが却ってダメだったなんて……。
私、気付けなかった。
私が勝手に判断するんじゃなくて、「あなたが好きでいてくれた私」を貫くべきだった。
変わって他の人から好かれることに何の意味もないって気付くのが遅過ぎたわ。……ほんと、バカね私。
……喋りすぎちゃってごめんね。
お互い、それぞれの道で頑張りましょ?
それでね、きっと十分よ。
最後になっちゃったんだけど、聞いてくれる?
あのね。
ズボンのチャック、上げた方が良いんじゃないかな。
え……。
あ、そうね………。
それじゃあ。……元気で、ね……? うん。
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