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これは1人の青年に起きた悲劇の物語である……
「文也、やっぱりここに居たぁ~。探したんだよ?」
明るく可愛らしい少年は双子の弟の雪人。甘えっ子でややヘタレな所がある
「ユキ、ここに来たかっただけだ。後、図書室だから静かにな」
「むー、良いの~?入学したばっかなのに友達出来なくなるよ?」
「いい、俺には本があるからな」
それは本心ではなかった。本当は皆と……
「またその本読んでるの?えーと、著者は太宰治だっけ…?」
「本は良いよな…。想像するだけでわくわくする…(ボソッ)」
「?何か言っ「あ、やっぱりこんなところにいた!文也先輩!雪人先輩!」
そう言いながら近付いてくるのは夏木雅、中学入学前に事故に遭い左目の視力を失ったらしい…詳しくは分かんないが何時も弟のレイトと仲がいい
『雅、ここ図書室なんだから静かにしなよ…』
レイトは昔、とある理由で声が出なくなった。そして今も…その病は治っていない。だから雅君といる時が1番レイトらしい気がする
「あ、ごめん…」
本を読む気が失せたし図書室を出て屋上に行くことにした
「友達……か…。ユキには”僕”の事なんて分からなくていい。……友達に”裏切られる”悲しみも、苦しみも……この世界が”酷く生きにくい世界”だと言うことも……」
本当は誰かと話したかった…本当は誰かと友達になりたかった……
”本当に……?”
「苦しいよ……ユキ……もう死にたいよ…」
”僕”は知らず知らずの内に屋上の手すりを越えていた
「ハヤっ…!?」
「ユキ…」
ー雪人sideー
ハヤの調子がおかしい事は気づいてた。でも……でもだからって……
「ユキ、悪い兄さんでゴメンな…」
「そんな事ない!お願い、死なないで…これ以上寂しい思いはしたくないよ…」
「……僕は”いらない存在”だから…誰にも言えない秘密を抱え、そして誰かに縋り付く……僕は悪魔だ……だから……だから……ゴメンね……」
「ハヤっ!!」
掴もうと伸ばした手は届くことなくハヤはそのまま落ちていった。笑顔で……そして何処か寂しそうな顔で……
ーfinー
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