青い絵の具。

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「あれ、まだいたの。」 「わ、先生、」 「ほんと好きだね、絵描くの。」 「まあ元美術部員ですから。」 知ってるよと笑いながら先生は美術準備室へ入って行った。 美術部の活動日は月水金の週3回。と言ってもその日にゆるく活動しているため強制参加ではないしむしろ幽霊部員は多い。 部活を引退したわたしは部活動がない日に美術室にきては絵を描いていた。 高3の12月、受験モードに身が入り空気がピリつくこの頃。推薦で大学を決めたわたしは適当にバイトをしながら過ごしていた。 「その絵、まだ完成しないの?」 「んー、卒業までには。」 「まだ3ヶ月もあるよ?」 準備室の扉を開けてそれに寄りかかり珈琲を飲みながら先生は少し困ったように笑った。 あーその笑顔すきだなと思う。この思いが、恋なのか、憧れなのか。わたしは今だに自覚していない。 ただ、話したいと思う。 ただ、その笑顔がみたいと思う。 ただ、会いたいと、そう思うだけだ。
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