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「ずっと思ってたんだけどさ、それなに書いてるの?」
「え、うわ、だめだめ!」
放課後、いつものように絵を描いていたら急に後ろから声をかけられた。
振り向くとそこには先生がいて、慌ててその絵を隠した。
「見せてくれないの?」
「見せませんよ。」
「なーんだ、残念。」
ふにゃり笑った彼は大して残念がっていなそうだった。
こっちくる?と先生はわたしに声をかけながら準備室へ向かった。この、美術準備室は準備室というよりも先生の小さなアトリエみたいになっていて、画材がたくさんあるのはもちろん、先生が描いたものがたくさん置いてある。
「先生は最近なに描いてるの?」
「おれ?えぇ教えないよ。」
「なんでよ。」
「完成したらね、見せてあげるよ。」
なにか描く?と先生はわたしにイスとともにスケッチブックと鉛筆を渡した。先生も同様にスケッチブックと鉛筆を取り出してはなにかを描きはじめた。
たまにこうして隣に並んで絵を描くのが日課になっていた。隣で鉛筆を走らせる先生を真似るように、線を追った。
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