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作るか、青い絵の具。そう言った先生はおもむろにキャンバスを2つ取り出しわたしと自分の前に置いた。そして棚から青系の絵の具を持ってきてキャンバスに色をつけはじめた。
「こうやって、絵の具混ぜてさ。あの青、作ればよくない?」
ふにゃっと笑いながら言う。あまりにもその姿がかわいくて思わず笑みがこぼれた。
「なにそれ、たのしそう。」
「でしょ?はい。」
渡された絵の具を受け取りパレットに色を出してはキャンバスに重ねていった。
あーでもないとか、こーでもないとか、そう言い合いながら色を重ねていく。なにがおかしいのか、そんなことはわからないけれど、なんだかおもしろくてずっと笑っていた。
「なんであの青がいいの?」
ふと先生が聞いてくる。
「うーん、いつも、見てたからかな。この窓から見える空をさ。」
「ふーん、なるほどねぇ。」
いつも見ていた、あの空を。いつも見ていた、あの青を。あなたの後ろにはいつもあの空の青さがあった。そんな青を残したかった。その青がないとあの絵は完成しない。
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