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「あ、これいいんじゃない?」
「あーたしかに、近いかも。」
何度か色を重ねた後、あの空に似た青が見えた。
これとこれとこれ、と重ねた色と分量を教えてくれる。その顔があまりにも楽しそうで、かわいいなと思った。
「て、聞いてる?」
「え、あ、聞いてるよ。」
「ほんとかよ?」
ヘヘッと笑った先生はまだどこか楽しそうで、絵の具まみれの手で触れるから鼻に絵の具がついた。
かわいいと思った。触れたいと、思った、
「先生、鼻に絵の具ついてるよ?」
「え、まじ?どこどこ?」
自分の鼻を触り絵の具を拭う。その姿がおかしく笑っていたらふと、先生の手が頬に触れた。
「っ、」
「そっちも、ついてるよ?」
「ぁ、…」
頬に触れた手に顔をあげると近くで、先生と目があった。うまく声がでない。うまく動けない。触れられたところが、やっぱり熱い。
「…やばいな、」
「え、?」
近くで重なった目線を逸らせずにいた。時が止まったように動かない、動かない。
頬に触れた手がゆっくりと動いて、唇に触れた。
「せんせ、?」
絞り出した声に、先生が反応する。
バツが悪そうな顔をした先生は、ごめんと呟いて立ち上がった。
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