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「きれいだな、」
顔をあげると夕日に照らされる先生の横顔があった。
いつだってその横顔がきれいで、いつだって憧れていた。憧れだったはずなのに、何故だろう。触れられたところが熱くて、熱くて、胸の高鳴りはおさまらない。
「ごめんな、もう今日は帰りな、」
「せんせ、」
先生、触れられたところが熱いです。
先生、胸が苦しいです。
先生、。
「んな目で見るなって、」
先生に髪をクシャクシャッとされ、わたしの視界は遮られる。気をつけて帰りな、そう上から声が聞こえた。
次の日、美術室に行っても先生はいなかった。その次の日も、その次の次の日も、先生はいなかった。
あれ以降、美術室で先生に会うことはなかった。
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