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Prologue
「じゃあな」
「ああ」
『またな』とは決して言わない。マンションの前であっちとこっちに別れて歩いてゆく。肌の味は知っているのに、本名は知らない相手。振り返ることもない。
ていうか、どうでもいい。
食欲と性欲と睡眠欲、一番我慢できないのは何だろう。
俺は人の食欲を満たすのが仕事がだけれど、俺を満たすことができるのは誰だろう、ってときどき考える。
そんな時に思い浮かぶ相手と最後会ったのは二年前の卒業式だった。
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