ある夏の日

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ある夏の日

放課後ふと空を見上げると遠くの方から厚い雲が重なりあい、風が雨の匂いを含み今にも雨が降りそうな空だった。 降らないうちに帰らないと、と急いで帰る用意をして玄関に向かう。 靴を履きながら外を見ると、すでに 雨が降り始めていた。 夏のスコールはすぐに通りすぎる。 止むのを待っていようか? 自転車で濡れながら帰ろうか?、悩んでいると後ろから聞いたことがある声がした。 「まだ雨ふってる?」 おそるおそる後ろを見るとシュンくんが私に?私に話しかけていた。 びくり、と体が跳ねあがる。 瞬間的にお互いの視線がぶつかった。 いつもなら合わない視線── でもこの視線を外すことが出来ない。 「うん、まだ降ってる…すぐ止みそうだけど…」 私はそう返事をしながら雨が跳ねあがる地面を見た。
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