序章〜異世界に召喚されし勇者たち《4話〜黒いローブの女《前編》》

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序章〜異世界に召喚されし勇者たち《4話〜黒いローブの女《前編》》

 神殿の祭壇から旅立ったハクリュウ達は、近くのあかね村で休むことにした。  ★☆★☆★☆  ここは宿屋の部屋の中。ハクリュウは、旅の途中でシエルに聞いたことを整理している。 (ん〜、この世界はシェルズワールドで……この国がホワイトガーデン。今から行く場所がルーンバルス城。  そして俺は、この国を救うためにシエルに召喚された。あとは……ルーンバルスを治めているその領主に会って、詳しい話を聞かないといけない)  そう考えながら、ハクリュウは頭を抱えた。 (あ〜、なんか頭の中がぁ〜!! はぁ……てか、自分の状態を確認してみたけど。LV190で、ソードマスター。  総合ステータスが830455で、アイテムもある。装備もそのまま使えるみたいだ。ただギルド無所属って……まぁ、そうなるだろうな)  ハクリュウは、元の世界のことを思い出している。 (そういえば……ギルドのみんなは、どうしてるかな。ギルド【ギガドラゴン】が心配だけど、現時点だと元の世界に帰れるか分からない)  ふと窓の外に視線を向けた。 (ふぅ、帰る方法を考えないとな。それにここは、ゲームと無関係の異世界。とにかく、今はまだ情報が不足してる……)  そう考えていると扉が開き、荷物を抱えながらシエルが部屋の中に入ってくる。 「あっ、起きていたのですね。明日の朝には、ここを出て王国に向かいます。ですので、必要な物を市場で買ってまいりました」 「ありがとう、シエル。それで、何度も聞くようだけど。俺が本当に、この国を救う英雄なんだよな? まだ、信じられない」 「間違いはありません! もしまだ信じられないのであれば、前にも言いましたが領主さまに詳しい話を聞いてくださいませ」  シエルは困ったような顔になった。 「あっ、ごめん。さっきから、色々と考えてて。それと本当なら俺も一緒に、市場に行けば良かったんだろうけど」 「心遣い、ありがとうございます。ですが、お気になさらないでください」  そう言いシエルは荷物を置く。 「私はハクリュウ様を、無事に領主様の所までお連れしなくてはなりません」  シエルはそう言いながら、荷物を整理し始める。  そして荷物の整理が終えると、隣の自分の部屋へと向かった。  ★☆★☆★☆  ハクリュウは荷物の整理や、アイテムボックスが使えるのか確認している。  すると、いつの間にか夜になっていた。 (アイテムボックスは、出すことが可能。だけど、入れるのは不可能かぁ。……ってことは、出した荷物を持つしかないな)  そう思いメニュー画面を操作しながら、試行錯誤している。 (あと可能な方法は、プリセットが使えそうだな。ここに、装備をセットしておけばいいか。他には……)  そうこうしているうちに眠くなり、ハクリュウはベッドに横たわった。  その時、急に部屋のランプが消える。それに気づきハクリュウは、慌てて飛び起きた。  するとハクリュウの目の前に、いかにも怪しい雰囲気の黒いローブを纏った女が立っている。 「お前が白き英雄か、なるほどな。あのお方の言う通り、今のうちに始末しておいた方がよさそうだ」  そう言い黒いローブの女は、ハクリュウに魔法攻撃を仕掛けた。 (嘘だろう〜! なんでこんな序盤から。それに、こんな宿屋で……。攻撃できるか、まだ確認していないのに……)  そう考えながらハクリュウは、魔法の攻撃を避けていく。 「うっ……」  だが全て魔法を避けきれず、ハクリュウの左腕をかすめる。  ハクリュウは左腕を抑えながら、黒いローブの女を見据えた。 「いきなり、いったい何のつもりで……お前は何者なんだ!」 「これを避けるとはな。流石は白き英雄。私の名はアリスティア。お前を殺しに来た者だ」  そう言うとアリスティアは、不適な笑みを浮かべる。 「さて悪いが、そろそろお遊びは終わりにしよう!」  アリスティアは攻撃体勢に入った。 (これは、どうしても戦わなきゃならない状況。ってことか……仕方ない、やるしかないよな)
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