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優しい女王陛下
わたしは、満たされた心臓の速くなった鼓動の音を聴きながら、静かに眠りについた。
🌙「夢羽、今日は、一緒にお買い物に行こうか。」
お母さんはわたしに優しい声をかけてくれた。
「うん!行く!夢羽、お買い物大好き~!」
まだ、6歳になったばかりのわたしは、お母さんの服の袖を摑んで、ずっとついて回っていた。
わたしはお買い物のスーパーに着くと、通りすがりのおばあちゃんやお兄さんに、しつこく声をかけて、お母さんを困らせていた。
「ねえねえ、お父さんはお買い物しないの?」
「…お父さんは忙しいのよ」
「ふ~ん。」
わたしは、スーパーにある、野菜の袋をいじくりながら無邪気に笑った。
「このあたりのスーパー、引っ越してきたばかりだからよく分からないのよね。」
お母さんが呟いた。
「あ、それより、夢羽、」
「なあに~?」
「腕は大丈夫?まだ痛い?」
お母さんは心配そうにわたしの腕を優しくなでた。
「うん!大丈夫!」
わたしの腕には包帯と、かたい板と、骨折をしたときにつけるような布が首から下がっていた。
わたしは、6歳のとき、骨折をしたのだ。
「そう、よかった。」
お母さんは本当に安心したように、微笑んだ。でもその顔はなんだか、やつれているように見えた。
幼いわたしには分からなかった_。🌙
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